骨粗鬆症とは
骨粗鬆症は、骨の強度が低下し、わずかな衝撃でも骨折しやすくなる病気です。
骨は一度できたらそのままではなく、常に「骨を壊す働き(骨吸収)」と「骨を作る働き(骨形成)」を繰り返しています。このバランスが保たれていることで、骨は健康な状態を維持しています。
しかし、加齢やホルモンの変化、生活習慣などの影響により、このバランスが崩れると、骨の量(骨量)や骨の密度が徐々に減少します。その結果、骨の内部がスカスカの状態になり、骨折のリスクが高まります。
骨粗鬆症は「沈黙の病気」とも呼ばれ、自覚症状がほとんどないまま進行することが特徴です。
主な症状と骨折しやすい部位
骨粗鬆症は、初期段階では痛みなどの症状がないことがほとんどです。
転倒して手をついた、少しひねった、といった軽い外力で骨折して初めて気づくケースも少なくありません。
特に骨折が起こりやすい部位は以下の通りです。
- 背骨(脊椎)
- 手首(橈骨遠位端)
- 上腕骨近位部(腕の付け根)
- 大腿骨頸部(ももの付け根)
背骨の圧迫骨折が起こると、慢性的な腰痛や背中の痛み、身長の低下、背中が丸くなるといった変化が見られることがあります。
また、大腿骨頸部骨折は手術や長期入院が必要となることが多く、寝たきりにつながる大きな要因の一つとされています。
原発性骨粗鬆症と続発性骨粗鬆症
骨粗鬆症は、大きく「原発性」と「続発性」に分けられます。
原発性骨粗鬆症
日本の骨粗鬆症患者の多くは原発性に分類されます。
代表的なものが閉経後骨粗鬆症です。閉経により女性ホルモン(エストロゲン)が減少すると、骨を作る働きが弱まり、骨を壊す働きが優位になります。その結果、急速に骨密度が低下します。
また、高齢になるとカルシウムの吸収率が低下し、ビタミンDの生成も減少するため、老人性骨粗鬆症が起こります。
運動不足や栄養不足など生活習慣の影響も大きく、「骨の生活習慣病」とも言われています。
続発性骨粗鬆症
内分泌疾患、慢性疾患、ステロイド薬の長期使用などが原因となり発症する骨粗鬆症です。原因となる疾患の治療も並行して行う必要があります。
検査について
骨粗鬆症の診断には骨密度検査が重要です。
当院では、DEXA(デキサ)法と呼ばれる専用装置を用い、腰椎および大腿骨近位部の骨密度を測定しています。これは現在最も信頼性の高い検査方法とされています。
検査結果は若年成人平均値(YAM値)と比較し、骨折の有無なども総合的に判断して診断します。
また、血液検査でカルシウムやビタミンDの状態を確認し、骨代謝マーカーの測定も行います。
起床時の腰痛、前屈時の強い背部痛などがある場合には、レントゲン検査で脊椎の圧迫骨折(いわゆる"いつの間にか骨折")の有無を確認します。
治療について
骨粗鬆症の治療目的は「骨密度を維持・改善し、骨折を予防すること」です。
薬物療法
症状や骨密度の状態に応じて、以下の薬剤を使用します。
- 骨吸収抑制薬(ビスホスホネート製剤、SERM、デノスマブなど)
- 骨形成促進薬(テリパラチド、ロモソズマブなど)
- 活性型ビタミンD製剤
- カルシウム製剤
患者様の年齢や骨折リスク、生活背景を考慮し、最適な治療を選択します。
日常生活でできる予防
治療と並行して、生活習慣の見直しも重要です。
食事
- カルシウム(乳製品、小魚など)
- ビタミンD(魚類、きのこ類など)
- ビタミンK(緑黄色野菜など)
を積極的に摂取しましょう。
運動
ウォーキングや軽いジョギング、サイクリングなど、息がやや弾む程度の有酸素運動を継続することが大切です。
体幹を鍛える運動は転倒予防にもつながります。
日光浴
日光を浴びることで体内でビタミンDが生成されます。
目安として、夏は20分程度、冬は1時間程度、屋外で過ごすことが推奨されています。